提案書レビューの自動化 / 全体像・実演・進め方

提案書レビューAI

今は作成者と杉本様の間でレビューのループが回っています。
このループをAIに移し、杉本様が見るのは一定水準に達したものだけにします。

2026年8月27日2026/8/23 宮本様ヒアリングをもとに作成

本日ご説明すること

  1. 仕組みの全体像

    提案書がどう流れ、AIが何を判定し、どこで人に渡るか。

  2. モックの実演

    基準を一行書き換えると、同じ資料の判定が変わります。この仕組みの中身が基準であることを、そこでご確認いただきます。

  3. AIチャットで運用するのと、何が違うのか

    AIの判断そのものは同じです。違うのはAIの外側 ─ 組織で回るかどうか。

  4. 決めるべき三つの論点と、進め方

    技術ではなく、この三点が決まれば動き出せます。

処理の流れ

提案書レビューAIの処理フロー 提案書の投入、読み取り、判定、返却を経て、基準未達なら作成者へ戻り、基準到達なら杉本様のレビューへ進む。 ① 投入 提案書を提出する ② 読み取り 文字と数値を取り出す ③ 判定 基準と照合し採点する ④ 返却 指摘と直し方を返す 作成者が修正 基準に届かないとき 水準に達するまで繰り返す ⑤ 杉本様のレビュー 基準を超えたものだけ 基準を超えたら ⑥ 周回数・指摘内容・通過までの時間をすべて記録し、基準の改善と若手の教育に使う

提案の採否を決めるのはAIではありません。AIが判定するのは「人に見せてよい状態か」だけです。

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判定の中身

AIが見る三つのこと

性能を決めるのはAIではなく、左側に置く基準です。
杉本様が普段見ている観点を文書にしたものが、そのまま中身になります。

判定の三層

必須項目

体制図、スケジュール、見積根拠、リスク記載などの有無。ここは機械的に判定でき、AIを使わずに検出できます。

事実と整合性

数値の根拠、見積・工数・期間の不一致、流用資料に残った旧案件の情報。断定はせず、確認すべき箇所を挙げます。

想定質問

顧客や上長が突くであろう論点を十問ほど。基準を通過した資料にだけ付き、レビュー会の材料になります。

AIは門番ですが、人を締め出す権限は持ちません。 三周しても基準に届かない資料は、指摘履歴を添えて自動的に杉本様へ上がります。作成者が指摘に納得できない場合も、理由を書けば人のレビューへ直行できます。AIが止め続ける状態こそ、この種の仕組みが使われなくなる原因だからです。

通過の条件

条件しきい値意味
点数実測で決定有効な観点の充足度。この点数は決め打ちではなく、過去の判断から逆算します(4ページ目)
必須項目欠落 0件一つでも欠けていれば、点数にかかわらず通過しません
事実・整合性指摘 0件数字の食い違いを残したまま顧客に出さない、という一線です
次のページでモックを実際に動かしてご覧いただきます。 左側の基準を書き換える、チェックを外す、通過ラインを動かす ─ そのたびに右側の判定が変わります。この仕組みの中身がAIではなく基準であることが、そこで一番よく伝わります。

基準の叩き台はこちらで用意しています。白紙からお願いすると止まるためです。杉本様には赤入れをしていただきます。

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実演

モック ─ 基準を書き換えると、判定が変わる

左が基準、右が判定結果です。左を書き換えると、右がその場で変わります。
タブで1回目・2回目・3回目の周回を切り替えられます。

提案書レビュー

案件:基幹システム刷新のご提案/株式会社サンプル商事 作成:営業部 山田
モック — 判定の粒度をご確認いただくためのものです

チェック基準編集できます

杉本様が普段見ている観点です。文言の書き換え、行の追加と削除ができます。チェックを外すとその項目は見なくなります。

通過ライン80

この点数を超え、かつ必須項目の欠落と事実・整合性の指摘がゼロのときだけ、杉本様のもとへ届きます。ここの80点は仮の値です。実際にどう決めるかは次ページでご説明します。

レビュー結果1回目

項目別の判定判定をクリックすると変えられます

指摘

レビュー会用の想定質問

記録

周回日時点数判定主な指摘
1回目8/26 10:1261点作成者へ差し戻し差別化、リスク記載の欠落
2回目8/26 15:4078点作成者へ差し戻し差別化がなお未記載
3回目8/27 09:0589点杉本様へ送付見積根拠に確認事項
3回目で基準に届かない場合は、指摘の履歴を添えて自動的に杉本様へ送られます。 作成者が指摘に納得できないときも、理由を書けば杉本様へ直接送れます。AIが止め続けることはありません。

この記録が貯まると、毎回同じ項目で止まっていることが見えてきます。それは教育で潰すべき項目であり、基準そのものの改善材料にもなります。

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評価の裏付け ①

80点という数字は、どこから来るのか

点数そのものに意味はありません。意味があるのは、杉本様の過去の判断と、どれだけ一致するかです。
80点は初期値であり、第一段階の二週間で実測値に置き換えます

そもそも、点数だけで通してはいません

通過の条件は三つのANDです。このうち必須項目の欠落と、数値の食い違いは「記載があるか」「二つの数字が一致するか」を見るだけなので、機械的に判定でき、実行のたびにブレることがありません。前ページのモックで通過を分けたのも、点数ではありませんでした。

周回点数必須項目の欠落数値の食い違い結果と、止めた理由
1回目61点2件2件差し戻し ─ 「なぜ当社か」「リスク」の記載なし
2回目78点1件1件差し戻し ─ 「なぜ当社か」がなお記載なし
3回目94点0件0件通過
通過ラインを80点にしても85点にしても、この三周回の結果は変わりません。 1回目と2回目は点数以前に必須項目が欠けており、3回目はすべて満たしています。点数が多少ブレても、通過判定そのものは壊れない設計です。点数は、あとどれくらいで届くかを作成者に示すための目安です。

AIに「何点ですか」とは聞きません

ブレるのはAIの性能ではなく、問いの立て方です。総合的な評価を求めると答えは揺れ、事実の確認を求めると揺れません。基準は右の列の形で書きます。

避ける ─ 答えが揺れる問い採用 ─ 答えが揺れない問い
この提案書を100点満点で採点してください体制図に稼働率の記載がありますか。あれば該当箇所を挙げてください
差別化が書かれているか競合との違いが、固有名詞または数値を伴って書かれているか
リスクが十分かリスクが3件以上、それぞれ対策とセットで書かれているか
課題設定が適切か課題が、顧客の発言の引用か提供資料の記述に基づいているか
点数はAIが決めているのではなく、観点ごとの判定を集計した結果です。 記載あり10点/要改善5点/記載なし0点を、有効な観点の数で割っています。計算式は開示されており、なぜその点数になったかは一行ずつ辿れます。「AIが61点と言った」ではなく「9項目のうち2項目が記載なし、2項目が要改善だった」が実体です。

第一段階の二週間の作業の実体は、上の表の右列を作ることです。AIを調整するのではなく、基準の文言を締めていく作業になります。

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評価の裏付け ②

通過ラインは、測って決める

第一段階で、過去に杉本様が差し戻した資料10本と、そのまま通した資料10本をAIに採点させます。
両者の分布が分かれる位置が、通過ラインです。こちらが決めるのではなく、過去の判断が決めます。

過去20本の点数分布と通過ライン 杉本様が通した資料10本と差し戻した資料10本を、AIが採点した点数の分布。通過ラインを動かすと、見逃しと空振りの件数が変わる。
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この20本は説明のための想定値です。実際の分布は第一段階で、御社の過去資料から測ります。ここでお見せしているのは数字そのものではなく、どう決めるかという手順です。

二つの誤りは、コストが違う

見逃し

AIが通した / 杉本様なら差し戻していた

基準に達していない資料が杉本様のもとへ届きます。門番として失敗している状態で、これが続けば負荷は減らず、仕組みが信用されなくなります。

→ ゼロに寄せる

空振り

AIが止めた / 杉本様なら通していた

作成者に一往復の手戻りが出ます。指摘は具体的なので直す作業自体は短く、資料の質はむしろ上がります。

→ ある程度は許容する
つまみは一本です。 ラインを上げれば見逃しが減り、空振りが増える。下げれば逆になります。上の図で動かしていただくと、この関係がそのまま見えます。採用するのは「見逃しがゼロになる最小の点数」。空振りをこれ以上減らそうとすると、門番が意味を失うためです。

第一段階の二週間で出す、五つの数字

指標測り方判断の基準
一致率過去20本について、AIの判定と杉本様の判定が一致した割合8割を下回るなら、基準を作り直します
見逃しAIが通したが、杉本様なら差し戻していた件数0件に寄せる。出たら通過ラインを上げます
空振りAIが止めたが、杉本様なら通していた件数2〜3割までは許容します
再現性同じ資料を3回投入し、判定が一致するか割れた観点は、基準の文言を締めます
通過ライン見逃しが0になる最小の点数これを初期設定として採用します

この五つが出せなければ、第二段階に進むべきではありません。止めどころを第一段階の終わりに置いているのは、そのためです。

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よくいただくご質問

AIチャットで基準を作って見せるのと、
何が違うのか

AIがやっている判断そのものは、まったく同じです。
チャットに基準を貼り付けて資料を投げるのと、システムが同じ基準で判定するのとで、出てくる指摘の質に差はありません。違うのは、AIの外側です。

チャットでできるのは、杉本様が楽をすること。
システムでできるのは、杉本様がいなくても基準が効くこと。
宮本様がおっしゃっていた「組織レベルでやると負荷が下がる」は、後者の話です。前者では組織は変わりません。

同じもの / 違うもの

AIチャットで運用システム化
AIの判断精度同じ同じ
基準の中身同じ同じ
使うかどうか本人次第提出フローに組み込まれる
基準の所在各自のプロンプト一箇所で管理・版管理
出力の形毎回変わる固定
記録残らない全周回が残る
投入されたもの把握できないログで追える
手間1本あたり10分前後提出するだけ

なぜシステム化が要るのか

使わない人が出るから

チャット運用は「使いたい人が使う」形です。忙しいとき、急ぎのとき、自信があるときに飛ばされます。そして飛ばされた資料が杉本様のところに来るので、負荷は減りません。

提出フローに組み込めば、AIを通さないと杉本様に届かない。現場が意識するのは提出先が変わることだけです。

基準がバラバラになるから

チャット運用を20人で始めると、20個の違うプロンプトができます。標準化どころか、属人化が一段深くなる。

基準が一箇所にあり、そこを書き換えれば全員に反映される。これが「組織に反映する」ということです。この仕組みの本体はAIではなく、基準を一箇所に置くことだと言えます。

記録が残らないから

チャットには何も残りません。誰が何回差し戻されたか、どの項目が繰り返し引っかかるか、が見えない。

記録が残れば、毎回同じ項目で止まっているなら、それは教育で潰すべき項目だと分かります。基準そのものも改善されていきます。運用しているだけでデータが貯まる、というのがシステム化の副産物です。

前ページのモックで動かしていただいた基準の編集は、システム化するとこの一箇所が全員に効きます。チャットでは、各自の手元に20個の写しができます。

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セキュリティ / 適用の線引き

セキュリティは、むしろ逆です

「AIを入れると危ない」ではなく、「チャット運用のほうが危ない」という話になります。
ここは説明の順番として重要です。

統制の観点で比べる

チャット運用システム化
何を投入したか把握できない全件ログ
投入してよい範囲個人の判断ルールで制限
顧客名の扱いそのまま貼られる自動でマスキング可
監査対応説明できない記録を提示できる
社員が個人のアカウントで顧客の提案書を貼っている状態は、統制されていないという意味で最もリスクが高い。ISO 27001の運用に乗せるなら、システム化は制約ではなく前提条件です。なお、必須項目のチェックだけであれば、外部に一切出さずに実現できます。

正直に申し上げること

チャット運用で十分な場合もあります。月に数本しかない、使うのが1人だけ、標準化する必要がない ─ この条件なら、システム化は過剰投資です。

だからこそ第一段階はあえてチャット運用にしています。まず基準を作り、2週間試して、精度の見込みを立てる。そこでダメなら投資を止められます。システム化が必要になるのは、「これは全員に使わせたい」と判断できたときです。判断する前に作らない、というのが進め方の要点です。

そのままお話しできる形

「AIの賢さは、チャットでもシステムでも変わりません。同じことを聞けば同じ答えが返ります。

違うのは、組織で回るかどうかです。チャットだと使う人と使わない人が出て、飛ばされた資料が杉本様のところに来る。基準も人によってバラバラになる。記録が残らないので改善もできない。

ですから最初はチャットで構いません。まず基準を作って、2週間試してください。それで効くと分かってから、全員に使わせる形にすればいい。

順番を逆にすると、使われない仕組みができます。」

この整理を先に出すと、「AIツールの売り込み」に見えなくなり、セキュリティの懸念に正面から答えられ、第一段階の意味が伝わります。

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ご相談したい論点

決めるべきことは三つ

技術ではなく、この三点が決まれば動き出せます。
順番も、この通りです。

論点

基準を何にするか

この仕組みの精度を決めるのはAIの性能ではなく、左側に置く基準です。杉本様が普段見ている観点を文書にしたものが、そのまま中身になります。叩き台はこちらで用意しました。白紙からお願いすると止まるためです。

過去に差し戻した事例を十件ほど、ご提供いただけますか

どこまで投入してよいか

提案書には顧客の課題や構成が含まれます。社内規程だけでなく、顧客とのNDAに第三者開示の制限があるかが実際の判断軸になります。なお必須項目のチェックだけであれば、外部に一切出さずに実現できます。

生成AIの利用規程と、NDA上の制約をご確認いただけますか

何の上に載せるか

Microsoft 365 か Google Workspace か、社内でお使いのものに合わせます。窓口はメール、フォルダ投函、チャットのいずれでも構いません。仕組みの中身は共通で、窓口は後から差し替えられます。ここは最後に決めて問題ありません。

社内の主要なグループウェアはどちらでしょうか

進め方

段階期間形態内容
第一段階二週間チャット運用基準の叩き台に杉本様が赤入れ。この時点で、精度が見込めるかどうかの判断ができます
第二段階一〜二か月システム化杉本様の手元で運用。周回数や指摘内容が記録として貯まります
第三段階以降組織展開営業部へ展開。開発側の技術提案書にも適用

前提

費用
月 数千円〜三万円AIの利用料。費用の主体は構築側にあり、方式により幅があります
最短の稼働
一か月半基準づくり二週間、構築二〜四週間の想定です
止めどころ
第一段階の終わり基準が機能しなければ、そこで投資を止められます
御社はAI駆動開発の内製化を支援されている立場です。自社の営業プロセスで実際に成果を出すこと自体が、顧客への提案材料になります。「自社で実践している」は、この領域で最も強い証拠です。

まずは第一段階の二週間から。基準が機能するかどうかを、作る前に見極めます。判断する前に作らない ─ それがこの進め方の要点です。

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